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九州マーケティングアイズ寄稿「ビッグデータに踊らされるな!」

<九州マーケティングアイズ寄稿 掲載>

ビッグデータに踊らさるな

 ~社会で実践するイノベーションを~

九州IT&ITS利活用推進協議会(QPITS)

 コンセプトキャプチャ

【組織概要】
所在地: 福岡市早良区百道浜2-1-22SRPセンタービル
組織概要:
ITおよびITSの利活用推進を目的とした、産学官民連携コンソーシアム(任意団体)。ビッグデータやスマートシティに関する研究やプロジェクトを推進。
HP: http://qpits7.jp/

 昨今、ビッグデータやイノベーションという言葉を耳にする機会が増えた。このビッグデータとは何か、そして真に現代社会に必要なイノベーションとはどのようなものであるか、という点についてQPITSの活動を通じて得た知見を紹介したい。

○ビッグデータは“はやり言葉”でしかない

 昨今メディアを賑わすビッグデータという言葉。このビッグデータとは何であろうか。過去に類を見ない多様なデータが、大量に、高速に行きかっている状態、というのが一般的な理解だろう。しかし、明確な定義はなく、非常にあいまいな概念だともいえる。

では“ビッグデータを活用する”ということはどういったことなのだろうか。こちらも“何かを解決するための手段としてビッグデータという概念やそれにまつわる技術を活用できる可能性がある”、という抽象的な意味に過ぎない。

つまり、“ビッグデータ”は、誰もが当たり前に、日常的に触れられるほどにITが普及・発展し続ける現代社会の潮流を表すための言葉であり、“はやり言葉”のひとつでしかない。

クラウドやIoT(モノのインターネット)などによって、社会のあらゆる物事がインターネットにつながり、データとして管理され、共有し、分析することができる。ソーシャルメディアにより、今まで接点のなかった人々が結びつき、新たな行動を生み出すことができる。さらに今後も高度に発展し続ける状態にあり、既存の機能を次々と代替していくことになる。こうした状況が当たり前に事になった、ものごとを考える前提になった。ただ、それだけである。“ビッグデータ”は決して魔法の杖ではないのだ。

もし周囲で「私たちもビッグデータを活用しよう」などといった議論を見かけたら、ぜひ、こう問いかけてほしい。「なぜビッグデータが必要なのか?そもそも何を解決したいのか?」と。ビッグデータという言葉に踊らされ、本当に必要な本質的な議論をしないままでは、何ら価値を生まないのだ。

○キーワードは“超複雑化した社会”

 より本質的な議論には、ビッグデータという潮流も含めた、より俯瞰的に現代社会の流れを捉えることが必要になる。そのためのキーワードは“複雑”だ。

 「社会は複雑だ」という言葉を見たとき、反応的に「当たり前だ」と感じるかもしれない。しかし、“複雑”の中身を掘り下げると、その重みが実感できる。

 例えば過去に建設したトンネルや橋梁は老朽化し、都市インフラ整備の問題になっている。東南アジアで災害が起きれば資材・部品の供給が滞り、日本の生産活動にも影響する。年功序列型の組織を作ったがために、ポストばかりが増えて意思決定が遅くなり、リスクの肥大化や機会損失につながるケースは稀ではない。そして、大地震や集中豪雨による未曾有の事態は、人間の予想を超えてやってくる。こうした事象はすべて、企業組織や個々人の活動に決して無関係ではなく、考慮すべき複雑な相関性を持っている。さらに言えば、人類史上経験したことがない、世界的な人口爆発、エネルギーの枯渇、環境汚染、水・食料の問題、貧困問題なども関連してくる。

 こうした、言わば誰も経験したことのないような“超複雑化した社会”と向き合い、社会や組織で起きる問題を根本的に解決することが求められている。逆を言えば、下手な対処療法は自らの首を絞める恐れがあることも認識しなければならない。大企業や自治体であっても、消滅し得る環境なのだ。

○単純な過去の延長に未来はあるのか?

 “超複雑化した社会”での問題解決は如何にして行うべきか。これまでのやり方を踏襲することで十分なのだろうか。答えはNOだ。

 単純に考えて、誰も経験したことがない超複雑化した社会の問題に対しては誰も答えを持っていない。過去の事例も、培ってきた技術も通用しない。組織の古い慣習は事態の悪化すら招く恐れがある。

 では、どうするべきか。答えは明快だ。過去に囚われることなく新しい可能性を創発する、すなわちイノベーションを起こすことだ。とくに実社会で技術を実用化する技術的イノベーションと、その技術による価値提供を自律的に持続させるビジネスのイノベーションの具体的実践が求められる。

○イノベーション実践の場 =  QPITS

イノベーションの実践は、コンセプトだけを発信していても動かない。本当に動くための場が必要だ。そのひとつ事例が、2013年7月に立ち上げた任意団体の九州IT&ITS利活用推進協議会(QPITS)だ。

QPITSは言うなれば産学官民連携の協働シンクタンクのような場であり、2014年7月現在会員数は61に至っている。事務局にも若手を登用し、他団体との連携も積極的に進め、“ビッグデータ”の潮流も含む“超複雑化した社会”を前提にイノベーションを実践している。

<啓発活動>

 “ビッグデータ”に関わる技術やビジネスの最新動向紹介セミナーや、社会の複雑性を理解して組織や個人の行動に転換するためのワークショップなどを月に数回提供している。またその様子をSNSやメディアを通じて発信している。

<研究活動>

 具体的テーマ(ITS・ヘルスケア・都市インフラ・センサーテクノロジー)を設定し、QPITS会員による共同研究を行っている。自治体などとも連携し、将来に向けた提言をまとめ、具体的なプロジェクトや事業の企画等を行っている。

<実証活動>

 国や自治体と連携し、社会実証実験の推進・支援を行っている。NEDO IT融合(H24~H26)や総務省 G空間シティ(H26)などをQPITS会員によって獲得したほか、社会実証事業を行う中小企業・ベンチャーの支援も行っている。

○最後に:イノベーションンの実践に必要なこと

 “ビッグデータ”は、言ってしまえばバズワードでしかない。本当に必要なことは、“超複雑化した社会”の問題に向き合い、真に求められるイノベーションを、全身全霊をもって現実のものにすることだ。

 QPITSでの活動はその一つの事例になると考えている。こうした活動を九州そして日本各地に広げ、世界に誇る日本を、世代を超えて築くことが必要だ。

 そこで最後に将来に向けたより多くの可能性の創出を願い、QPITSの活動を通じて見えてきたイノベーションの実践に必要な要素を紹介したい。そしてもし関心を持っていただけたなら、ぜひQPITSにコンタクトをしてほしい。QPITSは常に扉を開いている。

【前提を変える】

“ビッグデータ”の潮流や、“超複雑化した社会”は、すでに起きた当然の事象であり、前提として位置づける。

【社会における価値に焦点を当てる】

社会的視点から実現すべき価値に焦点を当てる。技術や理論はそのための手段として考え、必要なものを選択する。

【野心を共有する】

互いの“ハラの探り合い”はしない。時間の無駄でしかいない。明確な主張をぶつけあい、協働する。

【自由かつ公正である】

組織、役職、年齢、背景などは関係ない。だれもが自由に、かつ公正な立場で参画できる。常にオープンであり、誰もが参加できる機会をつくっている。

【成果はリスクをとった人に】

主体的に行動し、リスクをとった人が相応のメリットを得られる。行動なしに、権利を主張することを是としない。

(QPITS 理事長/西鉄情報システム 理事 浦 正勝)
(QPITS 事務局長/フィールド・フロー 代表取締役 渋谷 健)

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